丹沢漆の里ムーブメント ~ 神奈川県秦野市のウルシ植栽活動 ~
丹沢漆の里ムーブメント ー 相模漆復活を目指して ー
神奈川県秦野市で、耕作放棄地を活用してウルシ植栽に取り組む、平野君子さんを訪ねました。

2022年に植栽をスタートした平野さん。現在は2か所のウルシ畑で、300本ほどのウルシを栽培しています。秦野市の職員で地主の高橋氏やNPO法人ウルシネクストの協力も得て、土壌改善や害獣対策、茨城県奥久慈漆組合の神長正則氏が開発した優良苗の採用などを行ってきました。

獣害は特に鹿が深刻。畔に植えられたウルシには、1本ずつに鹿よけネットが巻かれています。

畑には蛭が出ることがあるので、長靴に蛭除けスプレーを。これだけ噴きかけておけば大丈夫!
昨年は、横浜にある森村学園の小学生やフランスの大学生の見学も受け入れるなど、秦野から世界に向けての漆文化の発信へと、活動の幅を広げています。
実は秦野は、400年以上前から漆掻きが盛んだった土地なのです。「相模漆」と呼ばれ、徳川家光の時代に、日光東照宮の造営にも使われた可能性を示唆する記録が残っています。

平野さんは活動を「丹沢漆の里ムーブメント」と名付け、「相模漆」復活を目指して、さらに植栽数を増やしていこうと、取り組んでいます。

2022年に植栽をスタートした平野さん。現在は2か所のウルシ畑で、300本ほどのウルシを栽培しています。秦野市の職員で地主の高橋氏やNPO法人ウルシネクストの協力も得て、土壌改善や害獣対策、茨城県奥久慈漆組合の神長正則氏が開発した優良苗の採用などを行ってきました。

獣害は特に鹿が深刻。畔に植えられたウルシには、1本ずつに鹿よけネットが巻かれています。

畑には蛭が出ることがあるので、長靴に蛭除けスプレーを。これだけ噴きかけておけば大丈夫!
昨年は、横浜にある森村学園の小学生やフランスの大学生の見学も受け入れるなど、秦野から世界に向けての漆文化の発信へと、活動の幅を広げています。
実は秦野は、400年以上前から漆掻きが盛んだった土地なのです。「相模漆」と呼ばれ、徳川家光の時代に、日光東照宮の造営にも使われた可能性を示唆する記録が残っています。

平野さんは活動を「丹沢漆の里ムーブメント」と名付け、「相模漆」復活を目指して、さらに植栽数を増やしていこうと、取り組んでいます。
古代から紡がれる漆の歴史
ウルシ畑に続いて、平野さんが秦野の里山を案内してくれました。
この地域が、旧石器時代からの遺跡や歴史的逸話の宝庫であることをご存じでしょうか!
たとえば、奈良時代に建立された東大寺の開山の祖とされる良弁(ろうべん)僧正は、秦野の出身と伝わっています。また良弁と親戚関係にあり、東大寺に多大な寄進をしたと伝わる漆部伊波(ぬりべのいわ)という人物もいました。「漆部」は、漆塗りを司る役職にあったことを示す姓であり、この地と漆の関係は古代から続いていたのではないかと想像を搔き立てられる伝承です。
ほかにも、縄文遺跡や古墳、渡来人の痕跡、北条氏ゆかりの地など、さまざまな史跡があります。

鎌倉時代、福井の永平寺の開祖、道元禅師を保護したことで知られる波多野(はだの)氏の住居跡と考えられる遺跡。
矢倉沢往還という街道が通り、江戸時代には大山詣での人々などで大いに賑わいました。また、江戸時代後期の古文書には、この地で盛んに漆掻きと漆の商いが行われていたことを示す詳細な記録が残っています。

平野さんのウルシ畑。この地域は古くから稲作より畑作が盛んでした。
この地域が、旧石器時代からの遺跡や歴史的逸話の宝庫であることをご存じでしょうか!
たとえば、奈良時代に建立された東大寺の開山の祖とされる良弁(ろうべん)僧正は、秦野の出身と伝わっています。また良弁と親戚関係にあり、東大寺に多大な寄進をしたと伝わる漆部伊波(ぬりべのいわ)という人物もいました。「漆部」は、漆塗りを司る役職にあったことを示す姓であり、この地と漆の関係は古代から続いていたのではないかと想像を搔き立てられる伝承です。
ほかにも、縄文遺跡や古墳、渡来人の痕跡、北条氏ゆかりの地など、さまざまな史跡があります。

鎌倉時代、福井の永平寺の開祖、道元禅師を保護したことで知られる波多野(はだの)氏の住居跡と考えられる遺跡。
矢倉沢往還という街道が通り、江戸時代には大山詣での人々などで大いに賑わいました。また、江戸時代後期の古文書には、この地で盛んに漆掻きと漆の商いが行われていたことを示す詳細な記録が残っています。

平野さんのウルシ畑。この地域は古くから稲作より畑作が盛んでした。
ヤビツ峠レストハウス

さてこの日、平野さんと待ち合わせをしたのは、秦野市「ヤビツ峠レストハウス」。
ヤビツ峠は、丹沢山系の霊山・大山までもほど近い、ヒルクライムやツーリング、登山で大人気のスポットです。小田急線の秦野駅から、平日は1日1本ですが、バスも出ています。

この日はあいにくの雨で、しかも平日朝でしたが、山歩きの人たちの往来が絶えませんでした。平野さんたちは、通る方々に「雨は大丈夫でしたかー?」「気を付けて」と明るく声をかけていらっしゃいました。
平野さんがウルシ植栽を始めたのは、主宰している金継ぎ教室が10周年を迎えたときに、「日頃から使っている漆のために、自らも貢献したい、ウルシを植えたい」と考えたことがきっかけでした。
その思いが実現に至ったのはそれから間もなくのこと。2021年3月から夫の有恒氏や仲間たちと共に「ヤビツ峠レストハウス」の運営を担うことになり、そのお客様からのご縁がきっかけで、市内外の協力者を得て、植栽地と出会い、ウルシ苗を入手することができたのだそうです。
現在はレストハウス、金継ぎ教室、ウルシ植栽と、大変多忙な毎日を送っています。
ところで、レストハウスを訪ねた方には、ぜひとも召し上がっていただきたいのが、
「丹沢ロイヤルカレー」。

「丹沢ロイヤルカレー」と「(夏季限定)クロモジアイスティー」。
なんと、いまの天皇陛下が浩宮様の時代に丹沢登山をされた際、料理研究家だった平野ハツさん(有恒さんの祖母)が依頼を受けて、レシピを考案し、48人分を山小屋までお届けしたという、思い出のカレーなのです。
今は平野君子さんがそのレシピを引き継ぎ、このレストハウスで提供されています。
地元の季節の食材を活かし、驚くばかりの手間をかけて作られていて、本当に美味しかったです。カレーを食べに行くためだけにでも、また訪ねたくなってしまいました。
奥にみえるお茶は「クロモジアイスティー」も、平野夫妻が地元に自生するクロモジで手作りしています。

平野さんが仲間と一緒に、森との共生に配慮し、採取から蒸留、充填に至るすべての工程を手作業で丁寧に行っているアロマウォーターもありました。
たくさんの物語が伝わり、そして今も紡がれている秦野は、本当に魅力的な地域で、まだまだ深掘りしてみたく、またじっくり再訪したいと思っています。
✿関連リンク
ヤビツ峠レストハウス https://tanzawamon.jp/
丹沢MONクロモジ・アロマウォーター https://www.hadano-brand.jp/food/hb-004/
ヤビツ峠レストハウス https://tanzawamon.jp/
丹沢MONクロモジ・アロマウォーター https://www.hadano-brand.jp/food/hb-004/







