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加藤 千晶 profile

FEEL J株式会社 代表取締役。
漆を愛し、漆を学び、漆の魅力の全てを伝え、
漆を通じて心豊かな生き方を提案するウルシスト®。
漆とウルシの木の楽しさを独自の視点で見出し、分野を超えて幅広く世界の人々に発信中。

欧米のラグジュアリーブランドで店舗運営、販売促進のマネージメントを経て、2013年秋にFEEL J を設立。2019年に法人化。
ワイン用の漆器開発や若年層への発信、うるし時間をゆったり楽しむ金継ぎ教室、漆の歴史講座など、新しい発想で漆文化と異分野を繋ぎ、現代と次世代への漆文化を紡いでいます。


●FEELJ株式会社 代表取締役社長 
●漆文化研究家
●漆器プロデューサー
●日本の漆サポート活動「URUSHI PICNIC」主宰
●埼玉に漆を植える会・縄文うるしパーク 副会長
●裏千家講師・日本酒ナビゲーター・ビアソムリエ 等 


~メディア出演・掲載実績~
●FMラジオ J-WAVE「GOOD NEIGHBORS」
●FMラジオ J-WAVE「JAM THE PLANET」
●RNC西日本放送「さわやかラジオ おはようハイタッチ」
●東京新聞「<新型コロナ>早期終息へ、漆に願い込め 浅草神社に染めマスク奉納 東北と都内の団体など」 
●公益財団法人 森林文化協会発行グリーン・パワー誌2020年12月号
●八重洲出版ムック本「歴食」執筆寄稿
●WEBマガジン 「CAVE -THE STORY-」
ほか



ごあいさつに代えて


漆に初めて出会ったのは、フランスの銀食器ブランドで仕事をしていたころでした。
20代の頃から洋食器が大好きで、海外を旅してはその土地の工房を訪ねたり、ギャラリーを巡ってコレクションしたり。もちろん和食器や漆器の存在も認識していましたが、とくに意識を向けることはありませんでした。

そんなある日、輪島塗の展示会に誘われて、軽い気持ちで出かけました。
「輪島塗=松竹梅の蒔絵がきらびやかなお正月に使う食器」と、ご多分に漏れず思い込んでいた私を出迎えたのは、何の装飾もない、まったくの無地の朱色の器。

思わず息をのみました。
その艶。質感。光。
それは濡れているかように艶やかで、軟らかいかのようにふっくらしていて、気と光を放つかのように神々しい。

これほどに美しくユニークなものが日本にあったのに、なぜ私は今まで気づかなかったのだろう。

それが、私と漆との出会いでした。

この日を境に、私はどんどん漆に興味を惹かれていきます。
多くの産地を訪ね、作家たちを訪ね、
いくつものお気に入りに出会って、日常の暮らしの中で使い始めました。
時間に追われ、心身ともに慌ただしい毎日に、漆器で食べる食事はほっこり肩の力を抜いてくれる優しい時間となりました。

しかし、知れば知るほど、日本の漆を取り巻く環境は厳しいものでした。
漆器は電子レンジにも食器洗浄機にも入れられない。時代遅れで使いづらい。当然ながら需要も生産量も激減しています。

もうひとつ、衝撃を受けたことがありました。
漆器の原料である漆はいま9割以上を中国からの輸入に頼り、国産漆は絶滅危惧ともいえる状況なのです。

需要のないものは廃れていく。仕方がないのでしょうか。

しかし漆は、自然と共存する循環型社会を支える日本の生活文化そのものです。
縄文時代から日本に根付いていた漆の文化が、このたった70年の環境の変化で失われる。
これは漆だけの問題ではない、日本の、地球の、課題に通じていると気づきました。

いま私は漆の課題解決、すなわち漆が現代の暮らしにふたたび根付き息づいていくことが、日本の美しい自然と文化を守ると気づいて、漆を愛し、漆の楽しみを届けるウルシスト®として活動しています。


ウルシスト® 加藤千晶